楽しくなきゃ、漫画じゃないじゃん!「BUTTER」感想

売れっ子漫画家に必要なのは画力とか天才的なコマ運びとかキャラクターづくりとかそういう技術だけじゃなくて、作品を作り続けていく覚悟と根性が必要なんだなー。

ヤマシタトモコが2冊同時刊行とかで書店フェアなんかやっちゃうたびに思う。多作なだけに内容が…とか、なんだかんだ言われることは言われているし、個人的にも思うところはありつつも、やっぱりヤマシタトモコの漫画、出るたびに買わずにはいられないし好きだな。この人の漫画は勢いが、漫画家として生きてく根性めいたものを感じる。

で、「BUTTER」。

BUTTER!!!(1) (アフタヌーンKC)

BUTTER!!!(1) (アフタヌーンKC)


悔しながら面白いと言わざるをえない…いや、別にヤマシタさんのことを敵視しているわけでもないけど悔しいという単語が出てきてしまう。

高校生のちょっと変わった部活なんて題材がド直球だし、「楽しくなきゃダンスじゃないじゃん!!」て決めセリフも、使い古された言い回しなのに、あーこれ絶対2巻買うわ。と思ってしまった。ヤマシタトモコといえば「喰いもの処明楽」が一番好きだったのですが、その後のBL数冊も全部読んだけどあれがなんで一番よかったかって、まず「バカ」×「ネクラ」の気持ち良いところをすべて描ききっているから。

「BUTTER」もあの作品と同じように主人公の「バカ」キャラが「ネクラ」を救う?のがメインの筋になっている。ヤマシタさんの「バカ」×「ネクラ」ほど読んでいて気持ち良いものはなし。

あとは「明楽」って実は結構みんなキャラが立ってて、群像劇…とまではいかなくてもスピンオフが読者からして容易に想像できるような感じになっていた気がするけど、今回はもろにキャラみんな立ちまくりで、バカとネクラの男女をとりまく高校生たちの群像劇っぽい展開が想像できる。特にあの、ヅカヲタのイケメンがいい。掛井くん。

あと、懸念として、私はヤマシタさんがBLでなく普通の男女入り混じる世界の話を描いた場合、あまり共感できそうにない「男子っぽい」女子が登場して、地に足がつかないものになるんじゃないかと勝手に思ってました。(よしながふみの女性を題材にした漫画はそんな印象を受ける)

でもそれもクリア。クリアというか、まだ踏み入れていない感じ。というのも、まだ1巻では男子は男子しかみえてないし、女子は女子しかみえてないから、なんだか男子キャラも女子キャラも性別が関係ない感じになってるんですね。共学の描写が「男子の世界」と「女子の世界」にまだまだパッキリ分かれている。ヤマシタさんは中高女子校だったらしいけど、これはリアリティあるんじゃないでしょうか。どうせ共学ってたって、高校生のうちは大半がこんな感じだったよあの頃…。

こういう男子コミュニティと女子コミュニティをちょっと離れて男女がであってしまったときにどういう展開になるのか、楽しみ。とりあえず個人的に思うヤマシタ作品のいいところが明楽以降封印されていた気がしていたところに現れてくれてよかったーと思う。

たぶん天下の講談社様なので、映画とかドラマとかアニメとかを狙ったテーマ選びになっているんだろうなと…いや、なんか今からドラマのキャスティングとか考えるのわくわくするよ、ぶっちゃけ。



っていう…夜中、読後3分後のブログ。
だいぶ偉そうだ…。