タイバニ第16話の感想

うーんやっぱり気持ち悪いとは思いつつ書いてしまった。


大学で中途半端にジェンダー研究とかやってしまったばっかりに男性性、女性性の軸で語りがち厨ですが、こういうのすきよね?好きな人もいるよね?みたいな気持ちで書きます。ので、そういうところに帰結する感想が好きじゃない方はごめんなさい。

あと勝手にこの先の展開とか妄想してしまってます。




タイバニって昔、ヒーローもののロボットアニメ、それこそサンライズのアニメを楽しんだ30代以上の男性がもう一度ヒーローアニメに戻ってくるようにという思いが込められたアニメだったというのをどこかで読んだんだけど、まさに1部は、ヒーローへの憧れや情熱の復権がテーマだったのかなと思いました。


かっこいい、強い、たくましい、みんなを守る男、すなわちレジェンドに憧れてヒーローになった虎徹。でも体力や経験に頼る戦法が年齢とともに行き詰まり落ち目を迎える。そんな男が自分の弱さを受け入れつつも、持ち前の情熱でなんとかヒーローとして挽回したのが、第1部の虎徹の姿。この虎徹の姿が、制作側が思い描いていた視聴層だとすれば、どこかで自分を旬が過ぎた人間だと思っていても、本当に情熱を持ち続けていればなんとかなる、というメッセージに読めました。がんばれよ、自分を信じていればなんとななるぞ、と。だから1部は「かっこいい、強く、たくましい、みんなを守る男」像は全然崩れていませんでした。


だけど、今回はそんな「かっこいい男像」の原点であるレジェンドが、実は家族すら守れない、虚偽にまみれた存在であることがわかりました。これはレジェンドがだめな人間だったからというとそうではなくて、恐らく「自分の失敗を隠したこと」や「妻に暴力をふるったこと」は彼なりの責任感から起こしてしまった行動なのだと思います。自分は市民から期待されるヒーローだから、いつまでも強い存在でいなきゃいけない。そういう自分の仕事を頑なにまっとうしようとして起こしてしまったこと。


そう考えると、「自分を信じればまだまだ俺だっていける」という1部のメッセージをそのまま引きずっていくと、成れの果てはレジェンドのような存在になってしまうことが見えます。かっこいい、強く、たくましい、みんなを守る、仕事に生きる男像が、実はそのままだと破綻するんだぜ、というのが2部のこれからのテーマなのかなと思いました。


虎徹が憧れていたヒーローの条件は突き詰めると家庭を歪ませるというのが第16話で示されて、次回そんな虎徹が自分の家庭を思い起こしにいく、というのがまたきれいな展開だなぁ。


かっこいい、強い男という像がもとで歪みが生じるのなら、もしかしたら虎徹に力は戻らなくてもいいきがしてきた。そのかわりに別の仕事を得るとか…バニーやまわりの人間と協調して何か別の力が引き出されるようになるとか。


「かっこいい、強い、たくましい、みんなを守る」存在が悪として描かれた部分がたまらなくよかったです。バニーが「ボクは市民を守るヒーローですから」とか言うシーンがスクリーンにアップになるところ。いい!前からマーベリックさんは顔からして絶対悪人だとなんとなく思ってたのですが、これはマーベリックさんの作ったヒーロー制度が今回の悪に回るな…。しかもジェイクがバニーの両親を殺したことに驚くほど理由がなかったので、もしかして実際に手をかけなくてもマーベリックさんが何か仕向けたとか…?


1部でヒーローの復権をうたって、2部でその存在を敵に回すとかすげー、おもしれー。とかって思ってたらそういえば前にもそんなアニメあったね…。機動戦艦ナデシコの映画版てアニメシリーズで味方だった組織が敵になるんじゃなかったっけ…?うろおぼえですが。


で余談ですけど、こういう「形骸化する男性性」みたいな物語がおうおうにして腐女子は好きなんじゃないかなぁと思った。ごっついおっさんを受キャラにしたくなるのって、男性性を形骸化させたい気持ちなのかも。実際、1部の役立たずで情けないけど威勢だけはいい虎徹なんてもろにそんな受キャラ。で、タイバニは虎受が圧倒的に多い。この女の欲望はなんなのかしら…私も虎受好きですが。